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しょうづかのばば(2)

閻魔さま と しょうづかばあ

 「悪いことをすると、しょうづかばあに連れていかれる」というのもあるが、有名なところでは「悪いことをすると、嘘をつくと閻魔さまに舌を抜かれる」という子どもをたしなめる言い方もあります。

 これも、子どもをたしなめる言葉で、「しょうづかばあ」「閻魔さま」と同じ地獄の場面から出た言葉で、子どもをしっかりさせたり、子どもに教えるものとなっている。
 生前に悪いことをしないという最もな「教え」ということ。

 当地にあるこの閻魔〜しょうづかばあは、左のようになっており、しょうづかばあが前で、その後ろには、閻魔さまを含む12人の冥界の王が並んでいます。

 民俗学の柳田国男は、しょうづかばあについて「奪衣婆のご利益として咳止めのほかにも、子どもの成長や婦人の多乳、虫歯などの口中の病気平癒をあげ」(「地獄めぐり」川村邦光、ちくま新書)としているが、どうも、単に怖い存在だけでなく、きちんとした信仰の対象となっているようである。

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ブレイクした時代の信仰、作られたもの

 しょうづかばあは、咳を止めたり、子どもの虫封じなどの子どもの病気を治す子育ての神様、あるいは、子どもを生む母親の神様的な存在であるというのが、信仰対象になったもののようである。(子どもの守り神)

 日本の信仰は、その時代時代にいろいろな思想(考え方)が入ってきているようで「文化・文政の時代にブレイクし幕末に爆発的に流行」(「庶民に愛された地獄信仰の謎」)した。それを裏付けるのが、右の写真で、しょうづかばあの石像の裏には「文化5年、細工伝七」と刻まれている。このしょうづかばあは、ちょうどブレイクしている「文化」の時代に作られたもので、それが裏付けられています。

安産や授かりを願ったり、子どもの健康を願う、叶える存在

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 しょうづかばあ(奪衣婆)が経典に出てくるのは「仏説地蔵菩薩発心因縁十王経」(地蔵十王経)で、ここからいろいろな考え(信仰)が生まれたんだそうです。

 むずかしいことは、わかりませんが、結論的には、「どうも、しょうづかばあは、出産や子どもの病気を治す存在の守り神」ではなかろうかと思います。

 左は、堂の入り口のもので、よくみると乳房の形をしたものが、鈴と一緒にぶら下がっています。どうも、そう古いものではないようですから、これを納めた方がこの地域にいるのでしょう。

 やはり、安産や子どもの授かりを願ったり、子どもの健康を願う、叶える存在が「しょうづかばあ」である。

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